まつじゅんの働き方研究所

働くことやお仕事に関することを研究している社会学研究者のブログです

社会人のキャリアチェンジとファーストキャリア―設計事務所の事例

昨日も建築士の方にお話を伺いました。

Sさんという独立して5年になる方です。

彼は大学を中退し、その後25歳で専門学校に通い、一級建築士を取得されました。

彼は京都にある通信制の大学に在学しているのですが、そこの学生さんを一人雇用されています。

彼いわく、設計という仕事を取り巻く環境が厳しさを増す中、一人でも多くの仲間を雇用することで建築の世界に貢献したいと。

 

たしかに、キャリアチェンジをしようと大学(社会人にとっての現実的な場所は通信教育課程ですが)に入り、猛勉強の末無事に卒業できたとしても、彼らを受け入れる場所があまり存在していないのです。

ゆくゆくは、彼らのうちの誰かが立派になり、雇用を生み出す側となるポテンシャルを持っていたとしても、重要なファーストキャリアが確立できない。その場がない。

今回、インタビューさせていただいた彼は、そのファーストキャリアを積むための場を学生さんやOBの方に提供されています。

キャリアチェンジをした方がいきなりプロの最前線に放り込まれるのはなかなか無理があることです。でも、Sさんのようにキャリアチェンジに理解があり、社会人学生もされている方が受け皿的な機能を持つ職場を提供されていることの持つ意味は非常に大きいと思っています。

社会人教育と職業をつなぐための一つのモデルケースとして今後も注目していきます。